PHASE_4 「帰らざるもの、帰るもの」

  壊れやすい願いだけが、何故こんなにも あるのだろう。
  いつだって、本当は探し続けていた。
  凍りついた記憶が、目覚める瞬間。
  いつか見た あの夢を、この手に掴むまで、信じ続けたい。

  記憶の彼方かなたで、誰かが歌っていた、あの歌。
  それは、とても古い――文明崩壊以前の――歌なのだと、聞いた事がある。
  歌詞の内容か、旋律か、それとも出自が そう思わせるのか。
  理由は判らない。
  何故か僕の心に、それは強く響いた。

  全てが済んだ事を知らされたのは、何日も過ぎてからだった。
  “白銀の翼 G・サジタリアスは、自ら翼を折った”と。
  嵯峨さんが。
  先輩が。
  志賀さんが。
  あの人達が、決断を下したなどと。
  信じられなかった。
  信じたくは なかった。
  くっ、と、喉の奥が詰まった。
  感情が。
  感情を、吐き出そうとするかに。
  だが、それは、それ以上届かない。
  決して。
  感情とは、元々、言葉で表せないものなのだろうか。
  そうなのだろう。
  でなければ、今頃は、多くの言葉がつむがれている筈なのだ。
  何故だろう。
  何故、感情とは、言葉で表せないのだろうか。
  たった、それだけの事が出来ないばかりに、人は互いに疑い、ねたみ、誤解し、傷つけあう……。
  涙が、勝手に流れ落ちていく。
  悲しい、というのもある。
  悔しい、というのも、ある。
  いろんな ものごとがないぜになって、何が なんだか、自分にも判らなくなる。
  それでも。
  それでも、生きている。
  生きているじゃないか。
  なら……。
  「僕等には、帰るべき場所がある」
  呟きは、ソラに散っていった。
  いつの日にか、それは蘇り。
  人々の心に、木霊こだまする。
  そう、信じて……。
  今は、ただ……。

  すぐにでもクーゲルさんと合流したかった僕等だったけど、それはかなわなかった。
  それどころか、G・サジタリアスを降りた後、僕等 乗員は連合によって、散り散りに させられてしまった。
  同じ星系内に居るなら まだ ましな方で、中には遠く、辺境と言って良い星系へ送られた人も居たようだ。
  行き先も告げられず、僕が一人、収容されたのは、旧世紀に在ったという戦時中の収容所の様な場所だった。
  約束が違う、と食ってかかりたい所だったが、そんな事をしても、恐らく痛い目を見るだけだったろう。
  それは、自由を保障する、と言いつつ付けられた、監視の兵士達の視線で判った。
  果たして、僕を同じ人間と思っているのか、それすら怪しい。
  建物から出歩く事すら許されない日々が、数日 続いた。
  しかし、そんな状況も、長くは続かなかった。
  僕を助け出してくれたのは、クーゲルさんだった。
  クーゲルさんのもとには、既にシャマやマセラトゥさん達が居るという。
  彼は、探し出すのが遅くなった事をびたが、部下の人が言う限りでは、これ以上無い迅速さで連合政府を説き伏せ、ここまで来たのだ、との事だった。
  一先ずの お礼を述べた僕は、真っ先に訊くべき事を訊いた。
  「あの、美緒という――女の子は居ますか?」
  「む? リストを頼む」
  僕に問われたクーゲルさんは、部下の人から名簿らしきものを受け取り、調べ出す。
  「……いや、まだ居ないようだ」
  その言葉を聞いた瞬間、僕の中で何かがはじけた。
  武装こそ構えて いなかったが、重装備の帝国兵達に取り囲まれ、隅に追いやられていた連合兵達の所へ歩み寄る。
  「……女の子は、どこへ連れて行かれたんですか」
  「知らねぇな」
  やさぐれた、胡乱うろんな目つきの兵士が、ちらと僕を見、素っ気なく答える。
  問いを重ねる前に、僕の身体は自然と動いていた。
  ただの金属塊だとでも思われたのか、それを取り上げられる事は無かった。
  いや、そう言えば、ろくな身体検査も されなかった。
  それどころか、触りたくないれ物のような扱いだったようにも思えた。
  思い返してみれば、兵士達の その振る舞いは、何か、おびえているようにも見えた。
  腰の後ろからビーム・ブレードを外し、発動させたやいばを突き付ける。
  少し近付け過ぎたのか、何かがげた臭気が鼻を突いたが、気にしては いられない。
  「女の子は、どこへ、連れて行かれたんですか」
  自分でも驚くほど、刻み込むように、剣呑な雰囲気を込めた言葉を吐いていた。
  「ッ!?」
  「レイジ君、落ち着きたまえ……!」
  僕の動きに気付いたクーゲルさんが、背後に駆け寄ってきたようだったが、それどころではなかった。
  「本当に、し、知らん……。俺ら みてぇな下ッぱが、知る訳が ねぇだろう」
  「嘘では、ないですね?」
  「命賭けてまで、嘘は言わねぇよ!」
  下手な事を言えば、そのまま斬られ兼ねないと本気で思ったのか、兵士は必死の形相ぎょうそうで訴えて来た。
  「じゃあ、誰か、知り得る立場の人を教えて下さい」
  「レイジ君! やり過ぎだぞ!」
  クーゲルさんが、僕の肩を掴む。
  「これだけは……誰に何を言われようと。助けなきゃ いけないんです。僕が……!」
  「判った、君の意はむ。しかし、やはり やり過ぎだ。交渉は私に任せてくれぬか」
  「…………」
  そこまで譲歩されては、引き下がるしかなかった。
  スイッチから手を放し、刃を収める。
  しょうそう感に押し潰されそうになる心を、こんな形でしか表せないとは。
  僕は なんて無力なのだろう。
  クーゲルさんと部下の人達が、美緒さんを含めた、他の地球人達の情報の聞き込みをしている間、収容所の敷地の隅で、車止めに似たものに腰を下ろして、物思いにふける。
  感情を制御コントロールしろ。出来なければ、いつか必ず重大なミスを招くぞ。
  幼い頃、誰かに言われた言葉が脳裏に蘇る。
  あれは誰だったのか。
  思い出そうとしてみたが、霧の中にかすむ様に、その人の顔は見えなかった。
  「聞いていた通りと言うべきか、少し違ったと言うべきか」
  「え?」
  呆れたというよりは、驚いている風に。
  気が付くと、隣にクーゲルさんが立っていた。
  「レイジ君。その名を見て、すぐに思い出したよ。サガが言っていた。あの時、惑星改造の現場を見に行ったのは、君なのだろう?」
  「嵯峨さんが……何と?」
  「物の判る奴だと。軽はずみな事は しない、とも」
  「そう、ですか……」
  嵯峨さんの期待を裏切ってしまったかの様な気分になり、益々ますます陰鬱いんうつになる。
  「ああ、すまない。ミオという少女の情報だったな。判明したよ」
  「!」
  押し潰した発条ばねから手を放した様に、勢い良く立ち上がった。
  はやる気持ちを何とかおさえ、クーゲルさん達と共に、少し離れた建物へ向かう。
  そこは、僕の押し込まれていたものと似た、倉庫然とした建物だった。
  入って行くと すぐ、部屋の一つに、身体を丸めて、膝を抱える美緒さんの姿を発見する。
  こんな所に一人 押し込められ、どれほど不安だったろう。
  だが、かなり物音を立てながら入って来た筈だが、まるで何も聞こえていなかったかの様に、反応は無かった。
  「美緒!」
  呼び掛けると ようやく、ぼんやりと、定まらない視線を僕に向ける美緒さん。
  初めて見た頃よりもひどい、感情そのものが磨滅まめつしたかのような表情だった。
  「……!!」
  その顔が、僕を認識するに従い、一気に泣き崩れる。
  声も無く、泣きじゃくる彼女を、どれだけの時間 なだめていただろう。
  思えば この時もう、僕の異能ちからは失われていたんだと思う。
  そうでなければ、美緒さんを感じ取れ、ここまでのあせりにさいなまれる事は無い筈だったのだから。
  泣き疲れ、眠ってしまった美緒さんを背負い、僕はクーゲルさんと共に、彼の艦へ向かった。
  シャマやマセラトゥさんとの再会を喜ぶべきだったのだろうけど、僕らには まだ、すべき事が残っていた。
  クーゲルさんの艦に乗り込んだ僕らは この後 シャマ達と共に、先にG・サジタリアスを降り、連合領内全域に散らされた仲間を集めて回ったのだが、シモンさんを始め、どうしても見つからなかった人も、また多かった。
  中には自力で脱出し、潜伏した人も居るのかも知れない。
  そんなはかない希望にすら、すがりたい気分だった。
  そして、彼等の安否を気遣いながら、月日だけが流れる事となる……。

  あれから、10年もの歳月が過ぎようとしていた。
  帝国の膝元、帝都ネメシスのあるヴェインド星に連れて来られた僕達は、なんとも豪気な事に、大きな無人島を丸ごと提供して貰い、そこで、かつてのヤマト・コミュニティのような集落を作り、暮らしていた。
  何くれとなく便宜べんぎはかってくれるクーゲルさんの お陰で、生活に不自由は感じなかった。
  最初の半年程は、以前にも増して情緒不安定だった美緒さんに付き添う内に、過ぎて行った。
  そこから更に半年を掛け、落ち着きを取り戻した彼女と、自然と そうなった、としか言い様が無い。
  僕は……一児の父になっていた。
  死んでいく命もあれば、生まれてくる命もある。
  誰の言葉だったのか、いつ どこで聞いたものか、もはや判然としないが、そんな言葉に背中を押されたのかも知れない。
  ヴェインド星に来て、2年が過ぎた頃の事だ。
  それからは もう、周囲の人達に助けて貰いながら、美緒と二人で、必死に子育てをする日々だった。
  一足早く親となっていたシャマと白長しなたきさんの夫婦にも、随分 助けられた。
  今日もまた、子供と遊び、共に学び、疲れて眠る……そんな一日なのだろう。
  そう思っていた。
  けれど、その日もたらされた報せは、僕達の生活を一変させる。

  目を覚ますと、丁度、夜が明ける所だった。
  外に出てみるが、当然、まだ誰も起き出しては いなかった。
  朝の空気の中、思い立って、少し散歩してみる。
  公転面に対し、自転軸が ほぼ垂直の この星には、四季のような気候変化は無かったが、島の在る緯度のせいか、この位の時間だと肌寒い。
  何か羽織って来るべきだったな、と後悔し始めた時、連絡艇発着場の方から来る人影に気付いた。
  「やあ、レイジ君」
  「クーゲルさん。おはようございます。今日は随分 早いんですね?」
  10年の間、10日と置かず、ここを訪れてくれていたクーゲルさんだったが、こんな夜明け すぐに訪れた事は なかった。
  そう言えば、僕らの娘は、当時のクーゲルさんの娘さんと同じ、8歳になった。
  クーゲルさんにも、その家族にも、お世話に なりっぱなしだった。
  娘さんは、よくクーゲルさんに連れられ訪れては、僕らの娘と遊んでくれたものだ。
  ちなみに、ヴェインド星の1日、及び1年は、地球とは若干違うので、最初の内は どちらで数えたものか、悩んだ。
  けれど、最終的に地球への帰還を目的としていた事もあり、多少の手間は覚悟の上で、地球時間で考える事に したのだった。
  「ああ。どうしても、急いで知らせたい事が 出来たのでね」
  急いで知らせたい事。
  こういう場合、悪い内容である割合が高いと思うが、クーゲルさんの表情を見る限り、そういった統計的な思考は捨てて良さそうだった。
  クーゲルさんによると、研究が続いていた、銀河間 輸送艦が完成したという事だった。
  小型の――と言っても、そこらの艦艇を遥かにしのぐ巨大な物だが――惑星改造拠点コロニアに、推進機能を付加した それは、元々コロニアが有していた高い居住性を生かし、長期間の移動に耐え得るものとなっているという。
  だが、それだけであれば、僕等には縁の無い話にしか聞こえない。
  つまり、この話が僕等のもとへ届けられたという事は――
  「君達を、それで地球へ送り届ける事が出来そうなのだ」
  「……!」
  予想通りの言葉が発せられた。
  いや、予想通りでは あったのだが、むしろ思考が停滞してしまう。
  「む。喜んでくれるものと思っていたのだが、そうでも無かったか」
  「いえ、その……唐突な お話だったので、どう反応したものかと」
  「そうか。いや、話しておくべきだったかも知れぬが、研究が完成するとは限らんのでな。期待外れに終わっても申し訳ないとも考えてしまってな」
  「お心遣い、感謝します。本当に、何から何まで……」
  僕は深々と お辞儀をした。
  M13銀河こちらには、そういった礼式は無いようだったが、僕としても他に、謝意を表す方法を思い付かなかった。
  「遥かな距離を隔てていた我々は、出会った。であれば、それもまた縁というもの。礼には及ばぬよ」
  そうだ。
  何万光年という、気の遠くなるような、両者の距離。
  本来ならば、出会う筈では なかったのかも知れない人々。
  しかし、出会ってしまった以上、良きにつけ、悪しきにつけ、えにしは結ばれたのだ。
  話を続けながら集落へ戻ると、ちらほらと、動く人の姿が見えた。
  「おはよう、レイジ君。散歩?」
  「おはよう、白長滝さん。うん、大きな お土産話を持って帰って来たよ」
  「お土産?」
  大きくなった お腹を抱えた白長滝さんが、僕に気付いて挨拶してくれた。
  「そろそろ?」
  「うん。あと半月くらい」
  僕の問いに、お腹をさすりながら答える。
  ……4人目、だそうだ。
  「そうか、おめでとう」
  「ありがとうございます」
  クーゲルさんの祝辞に答礼する白長滝さん。
  「ふむ。しかし そうなると、生まれてからに すべきだろうな。母体に負担が掛かっては いかんからな」
  「そうですね。ひと月ほど、待って貰えますか」
  「もちろんだ。君達を乗せる事が、主たる目的なのだからな」
  「?? 何の話なの?」
  「皆を集め終えてから、ね。ふふ、きっと驚くよ」
  疑問符を浮かべる白長滝さんに、僕は悪戯っぽく笑ってみせた。

  出産を終えた白長滝さんの体調が安定するのを待つ間、さしたる荷物も無く、準備も必要でない僕は、ほんの少し そわそわしながら、その日を待った。
  きっかり ひと月後、僕等はヴェインドを離れ、その重力安定点ラグランジュ・ポイントに浮かぶ銀河間 輸送艦に乗り移った。
  「さらばだ、レイジ君。君と出会えた事は、私の人生にとって、大きなみのりの一つだ」
  「僕も です。さようなら、クーゲルさん。お世話になりました。お元気で……」
  見送りに来てくれたクーゲルさんと、最後の挨拶を交わす。
  言うべき言葉は他にも あった筈なのだが、いざとなると出ては来ないものだ。
  互いのエアロックが閉じ、接続通路のドッキング・アウトが完了する。
  きっともう、クーゲルさんと会う機会は、来ないだろう。
  そう思うと やはり、もっと言葉を交わすべきだったかと、後悔する。
  推進器が起動し、ゆっくりと、艦が進み始める。
  同時に、クーゲルさんの乗った艦が、少しずつ遠ざかって行った。
  「…………」
  その時 感じたのは、寂しさ――だったのだろうか。
  そうかも知れない。
  最初は全くの異境だったとしても、10年という歳月を過ごした土地だ。
  何も感じない方が おかしいだろう。
  我知らず、つないでいた娘の手を、少し強く握ってしまったようだ。
  「パパ……痛いよ」
  「! ご、ごめんよ、優奈」
  美緒に似たのか、言葉少なな娘だったが、少々頼りない親の許でも、すくすくと成長してくれていた。
  「レイジ」
  「美緒?」
  「部屋、行こ?」
  「そうだね。一息つこうか」
  娘の手を引いて、僕等は割り当てられた居住区画へ向かった。

  こうして、自らの意思で残留を決めた数人を残して、僕等は地球への帰還のいた。
  概算では2年弱の道のりとの事だったが、これまでの事を考えれば、どうという事も無い数字だった。
  巨大なふねの中で、集落と ほとんど変わらない生活を送る内、その2年も あっと言う間に過ぎ去り――
  僕等の目前に、青く輝く惑星が、姿を現した。
  長い、本当に長い旅だった。
  宇宙のスケールから見れば ごく短い、ほんの14年ほど留守にしただけの筈だったが、その青さは、とても懐かしく感じられた。

  クーゲルに救出され、帝国領に落ち着いたレイジ達。
  過ぎる月日の中、徐々に連合の内実が明らかとなってゆく。
  影の首領達を失った連合では、惑星開発公社の一派と、政府、軍の間で悶着もんちゃくがあり、一時、内戦が勃発ぼっぱつする寸前まで事態が悪化していた。
  コスモ・シャドウの風聞が、尾ひれを誇張されて伝えられていた事も もちろん影響していたが、レイジ達の扱いが杜撰ずさんを極めたのには、そんな理由があった。
  最終的に、過去の栄華を求める公社派の、再びの台頭を許す事となるのだが、それには十数年の時を要する。
  白銀の翼によって もたらされたものは、混乱と破壊と――
  しかし、それだけでは なかった。
  人々の心に、確かに刻まれた何か。
  それは、時を経る事で、ようやくに認識される類のものだったのか。
  今は まだ、誰も気付かない。

  レイジ達にとっては全く関係の無い話ではあるが、これより数十年ののち、帝国は跡目争いの末に連合に吸収され、汎銀河連盟が成立。
  国力、技術力、武力、あらゆる点で劣っていた地球も、なし崩しに加盟する事となる。
  しかし反面、方向性を異にしていたM13銀河と地球の技術が融合する事によって、新たな星系の開発は加速し、人類は銀河系中に広がって行くのだった。
  “戦争こそが技術を進歩させる”とは、誰の言葉だったろうか。
  無論、それを目的に戦争が起こる訳では無い。
  歴史を見れば判る通り、戦争が技術革新を加速させ、結果的に進歩はされて来た。
  だが、忘れては いけない。
  “人の死なぬ戦争など無い”という事を。
  そして、“戦争だけが技術を進歩させる手段ではない”という事を。
  心によって制御されない力は、ただの暴力でしかない。
  これを忘れた時、人類は愚かしくも、再び戦争を繰り返すだろう。
  戦争が起こる度、多くの者は祈る。
  願わくば、二度と このような戦争が起きぬよう、と。
  しかしそれは、はかない願いだ。
  弱者の祈りは常に踏みにじられ、歴史は愚行ぐこうを繰り返す。
  人が、人である限り、この負の連鎖ループは続くのだろうか。
  そんな事は無い筈だ。
  遺伝子の二重螺旋らせんを見よ。
  確かに上から、下から見れば、同じ円の上を ひたすらに巡っているだけかも知れない。
  だが、横から見れば……そう、“進んで”いる。
  単細胞生物から多細胞生物へ、魚類、ちゅう類、哺乳類、そしてヒトとなったように。
  いつかは、人類が争いから解放される日が来る。
  そう信じて、佐々木レイジの物語を終えよう。


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