PHASE_6 「時空の悪戯いたずら

  言葉の壁の前にも、壁はある。
  それは、認識の壁というものだ。

――発言者不明

  「おっし、そんじゃあ――」
  言い掛けた嵯峨の背後、G・サジタリアスふねの向こうで、突如、爆光がはじけた。
  『次元断層から生きて戻るとはな。しかも、失った力を回復させたと見える』
  それは、以前どこかで、確かに聞いた覚えのある声だ。
  「……あぁ、忘れてたぜ。そういや居たな、こんな奴」
  「さすがにひどくない?」
  「で、でもよ、あいつはレイジが ぶったったはずじゃ?」
  『忘れたか。貴様が消滅させたのは、われの端末に過ぎぬ』
  「ンなコタぁ判ってらァ。フネ、出すぞ」
  「わ、判った」
  大陸に突き刺していた、射出式のアンカーは、既に回収されていた。
  逆噴射を掛け、ゆっくりと大陸から離れるG・サジタリアス。
  その下方に、星々のきらめきとは異なる何かが在った。
  コスモ・シャドウは無く、相手がCS−Rをようする以上、戦いは不利と思われたが、嵯峨に艦載機を使うつもりはなく、どちらも対艦戦を想定しているようだった。
  『取ったぞ』
  下を押さえ、全砲塔をG・サジタリアスの艦底部へ指向する、漆黒しっこくふね、D・サジタリアス。
  艦底部に武装を持たないG・サジタリアスにとって、それは死角を突かれた事を意味する――筈だった。
  「…………。馬鹿か? おェッ!?」
  『な――』
  他者には理解に苦しむ、怒りをにじませた嵯峨が、叫ぶ。
  この状況下に似つかわしくない反応に、反存在だけでなく、艦橋のメンバーすら驚きを隠せない。
  「旧世紀の水上艦じゃねぇんだぜ? “俺のフネ”に、ンな間抜けなオチが、ある訳ねぇだろうがッ! 主砲、4番、5番、起動! 奴の間抜けヅラにブチ込んで やれッ!」
  今まで使われる事のなかったナンバーが指呼しこされ、嵯峨の声に応じるかに、艦底部、第三艦橋の前方に存在した、配管のような構造が艦体から分離、砲塔としての姿を現す。
  その形状は、旧世紀の水上艦艇のものに似せてある上部砲塔とは異なり、更にはふた回り程、大型であった。
  「艦の尻にも武器、付いてたんかよ!?」
  「ケツ言うな……。4番と5番は、1から3番とは構造が違うんだよ。人間相手にゃ使えねぇ、物騒ぶっそうタマァ撃つ用なのさ」
  志賀の問いに、しっかりと突っ込みを入れつつ、説明を加える。
  元より、航行システムの一部を除いて、ほとんどの機能が自動化されているG・サジタリアス。
  2基の下部主砲も、現れるや否や、D・サジタリアスへと砲身を指向すると同時に、激しい砲火を浴びせ始める。
  しかも、嵯峨の言葉通り、常とは異なる種々のエネルギー弾を発射しているらしく、D・サジタリアスのディメンジョン・クリスタルになされる弾もあれば、直撃している弾も確認できた。
  とはいえ、さすがに事は そう簡単では なく、同型艦だけあり、ディメンジョン・クリスタルを貫いたとしても、その他の防御システムで減衰されてしまっていた。
  下部主砲の射撃で けん制しつつ、艦首をD・サジタリアスへ向けたG・サジタリアスは、上部砲塔にミサイルも加え、猛烈な火線を集中させる。
  やがて、態勢を立て直したか、D・サジタリアス側からも砲撃が始まる。
  二隻の巨艦同士の砲撃戦が、宇宙の闇を束の間、照らし出す。
  「あんまり……うわッ! 効いてないような――」
  激しい振動が襲い、優輝の言葉を遮る。
  同型艦の筈が、僅かながらG・サジタリアスこちらの損害の方が大きい様に見えた。
   理由は不明なれど、事実、相手の戦闘力はG・サジタリアスを上回っていた。
  「決定的な打撃ヤツが要るみてぇだな……。こいつばかりは、使い道はぇと思ってたんだが。艦首砲、射撃シークエンス、スタート!」
  「えっ、艦首砲?」
  「そんなん付いてたんか!?」
  志賀は いざ知らず、優輝すら驚く。
  「おうよ。威力が有り過ぎて、今まで使いドコが無かっただけでな」
  (宇宙戦艦と言えば、イコール艦首砲……か)
  (嵯峨もベタだよねぇ。人型マシンの方も相当だったけどさ)
  御堂とソウマの声無き指摘は、無論 届く筈も無く。
  艦首先端部が、つぼみを開く花の様に、割れ開いていく。
  『その様な大仰な物を、食らうと思うのか』
  回避機動に入ろうとするD・サジタリアスだったが。
  「そっくり返すぜ。“逃がすと思ってんのか?”」
  『ぬ……っ!?』
  何故か、D・サジタリアスの動きがにぶる。
  「何だ? 奴の艦の動きが?」
  「良っく見てみ」
  嵯峨に促され、D・サジタリアスを捉えた拡大映像を覗き込む御堂。
  爆発し損ねたものか、D・サジタリアスの周囲には少なくない数の、原形をとどめたミサイルが漂っていた。
  「ミサイル……。不発弾か?」
  「んや、そもそも爆発物なんか入ってねぇのさ」
  「なるほど、“仕込み矢”という訳か」
  「御名答。融合されかけた時に、奴の特性は解析したんでな。念の為 造っといたのさ」
  「用意のい事だ」
  呆れ顔の御堂を よそに、嵯峨は射撃シークエンスを見守る。
  主砲を遥かに凌駕するエネルギーが、艦首砲口へと集約、圧縮されて行く。
  次の瞬間、舷窓の外部映像がシャットダウンされ、その僅かな隙間から光が漏れ入って来る。
  『お、のれ、ェェ……』
  そこで通信は途切れ、後には、雑音が流れるだけとなった。
  回復した外部映像で確認する限り、D・サジタリアスの姿は無い。
  「跡形も無し、か。やり過ぎじゃないのか?」
  「そうは言うがよ、またぞろよみがえって来られても、面倒だろ」
  たしなめる御堂に、心底 嫌そうな顔をして見せる嵯峨。
  「現に“よみがえって来た”前例が居るし?」
  「茶化すなよ、ソウマ。嫌味イヤミっつーか、もう毒だぞソレ」
  「何にせよ、後顧こうこうれいも断てた訳だな」
  「おうよ。戻るとするか」
  恐らくは、自らにとって最後となるであろう戦闘を終えたG・サジタリアスは、再び大陸船へと降下していった。

  それから一か月程は、静けさに包まれた宇宙の中、めいめい気ままに過ごす事が出来た。
  嵯峨や優輝は、ゴウズとの技術交流をはかっていた。
  とは言え それは、新たな技術を得ても、最早 生かす機会の無いであろうゴウズの側から、嵯峨達への供給が主だったのだが。
  志賀とウォンは、二人連れ立ち、何故か わざわざ、未踏査の神殿の探索へと向かった。
  冒険心に火が着いた、とは志賀の言葉だったが、もっとも この二人の場合は、それでは理由として半分未満、といった所だろう事は、誰が見ても明らかだった。
  優子と奈美はと言えば、趣味と実益を兼ねて、そこら中の植物を採取して回る日々を過ごしていた。
  一人 手の空いていたソウマが引っ立てられ、およそ人間一人が持てる限界を遥かに越える荷物を運ばされていたのは、これまた言うまでもない。
  手すきと言えば御堂も同様の筈だったが、病み上がりで無理をしたせいか、治療メディカル寝台ポッドへ逆戻りする羽目におちいっていた。
  三組に分かれた それぞれが、おおむね目的を果たした頃。
  「お、志賀、ウォンさん、戻ったか。……何か“成果”は あったのかぁ? んー?」
  「ななっ、何の事だよっ!?」
  探索から帰還した二人を見つけ、ニヤリと笑いながら訊ねる嵯峨に、うっかり しどろもどろ になる志賀。
  しかし、意味の通じなかったのだろうウォンは、嬉々として戦利品を取り出して見せた。
  「色々と回収しましたよ。価値の程は判りかねますが」
  「……! こ、これは」
  「? ゴウズさん!?」
  「な、何だ? どうした じいさん!?」
  見れば、王冠らしきものと、布の切れ端を かき抱いたゴウズが、涙を流していた。
  「若いの。……いや、シガ、だったな。礼を言うぞ。またしても……またしても――」
  感 極まったのか、言葉に詰まるゴウズ。
  その反応に、嵯峨が思い当たる。
  「ああ……そういう事か。ゴウズ殿、もしや その二つが、残りの……?」
  「そうだ。三種の王器、“冠”かんむり、そして“衣”ころもだ……」
  「貴方がたにとって、王器というのは、それほどに重要な物なのか?」
  「いや、恐らく多くの民にとって、これらは単なる“物”以上の意味は あるまい。だが、わしに とっては……形見、なのだよ。兄の、な」
  「兄上? 貴方は王弟おうてい――殿下だったのか」
  「そうではない。あにおとうとと言っても、儂は妾腹しょうふくでな。それも、儂自身を含めて、誰も知らなんだのだよ。母が、一人で墓まで持って行ったようでな……。儂が それを知ったのは、誰あろう兄 本人から聞かされての事だった」
  遠く、遥かに過ぎ去った日々に思いをせるゴウズ。
  「普段は威厳ある王として、民を率いていた兄だったが、儂と二人の時は気さくな、良い兄だった……」
  「そうでしたか……」
  「そんなに思い入れのあるモンを、結局 全部、俺が見つけちまった訳ね」
  「やるじゃねぇか、志賀。これも立派な人助けだぜ」
  「そ、そうなんか、な?」
  「うむ、さすが、私の旦那様だ」
  「うわあっ!? ウォン、それはッ!」
  「ハッ!?」
  聞き捨てならない単語を、がっつりと言い切った後で気付いても、後の祭りなのは言うまでもない。
  呆然としている優輝の横で、嵯峨は再びニヤリと笑うだけで、何も言おうとはしない。
  「……し、志賀?」
  「ぐぐ……。もう少し、タイミングを見たかったんだけどなあ」
  「ふふ。良いではないか、めでたき事よ。儂にとっても、お主にとっても、な」
  「そりゃ、そうなんだけどさ……」
  「うう、す、すまない……!」
  「ぅあ、いやいやッ、どっちにしても、そろそろ言うつもりだったしさ! ……ちょい、不意打ちだったけど……」
  「いーじゃねぇか、祝いの席を設けようぜ? ほれ、丁度 最後の一組も帰って来たしよ」
  嵯峨の指す方向から、優子達が来るのが見えた。
  例によって、ソウマはうずたかく積まれた荷物を抱えている。
  「あらあら、皆さん お揃いで。何の相談ですの?」
  「おう、祝いの席の相談よォ。志賀とウォンが、くっついたってんでな」
  「ええ!? そうなの、志賀君?」
  「え、う、あ、ああ……そう、なんだ」
  すっかり機をいっした志賀は、そわそわと視線を さ迷わせるばかりで、見事に落ち着きを無くしていた。
  「…………」
  一方、目力めぢからで優輝に訴えかけた奈美だったが、こちらは肩を透かされてしまっていた。
  ともあれ、墓に参じるというゴウズを除いた全員で分担し、宴の準備はとどこおりなく進んだ。
  戦闘で負った損傷の修復が済み、新品同様に磨き上げられたG・サジタリアスは、以前よりも内陸、街のそばに停泊していた。
  その足元で、焚き火を囲んで、ささやかな宴は開かれた。
  ここで産する植物は、当然の事ながら地球のものの祖先に当たる。
  そうは言っても、例え同じ系統のものだとて、産する土地が変われば、味も変わるもの。
  味が変わるという事は、手持ちのレシピに そぐわぬ可能性もあるという事だ。
  そんな訳で、一か月に亘って優子や奈美による研究が続けられた結果が、ずらりと並んでいた。
  「おぉ、美味しそうだねぇ」
  「コラ、ソウマ。おェは そのまま食いモン食ったら、壊れちまうぞ」
  「ええ? そうなのかい? 残念だなぁ……」
  「だがまぁ、そうだよな……。後でいじってみるか」
  「頼むよ嵯峨。折角せっかく 五感も搭載してるんだからさ」
  「おう」
  各人かくじんが昔語りに一頻ひとしきり盛り上がり、えんたけなわを過ぎた頃。
  「なあ おっさん、ふねも直ったんだし、M13銀河にさ、こっそり戻ってみないか。レイジ達にも会いたいしよ」
  「……レイジは、もう居ねぇよ」
  昔話に触発されたのか、そんな事を提案する志賀だったが、しかし、嵯峨の答えに、全員が驚愕きょうがくする事となる。
  「!? 居ないって……どういう?」
  「フネを降りた連中は、“あれから随分ずいぶん って”地球に帰ったみてぇだ」
  「そうなんだ。それなら、地球へ――」
  嵯峨の言葉を、M13銀河には居ない、という意味に受け取った奈美が、言い掛けるが。
  「そうじゃねぇんだよ、奈美 嬢ちゃん。地球へ戻っても――アイツ等は、居ねぇ」
  「地球にも居ない……って、じゃあ?」
  「俺達が地球を出てから、もう、100年以上、過ぎてんだ」
  「な……」
  噛んで含む様に、ゆっくりと、文節で区切って語る嵯峨。
  お陰か、その言葉が何を意味するか、優輝達にも はっきりと伝わった。
  「あの空間に、長居し過ぎたみたいだね。プラス マイナス ゼロに近かったら良かったんだけど」
  「恐らく、空間からの脱出時のタイミングで、確率的に決定されたのだろうが――」
  ソウマと御堂が、フォローするつもりで発言するが、突き付けられた現実は、余りに衝撃が強過ぎた。
  「じゃあ……地球に帰っても、知った顔は無い、って、事、か?」
  「そうなるな」
  「おじ様の力で、何とか なったりしないの? 魔法みたいな、その力で……」
  「魔法――無から有を生み出す――とか、デタラメなモンとは違うんだ。俺の力は、あくまで物理法則に支配されてる。質量保存則とかは破れねぇんだ。もちろん、時間の やり繰りなんて事も、出来ん。すまねぇな……」
  「そう、なんだ……。じゃあ、もう美緒とは……」
  「奈美……」
  「ん、大丈夫。私 見たから。美緒あの子が、レイジ君と一緒に笑ってる所」
  肩を支えてくれる優輝に、気丈に振る舞う奈美。
  「え?」
  「夢かも、知れないけどね」
  言って、奈美は力なく笑った。
  だが、御堂が その言葉に反応した。
  「奈美君、それは もしや、“あの空間”の中での事なのではないか?」
  「えっ? はい、まだ船が迷子だった頃の事ですけど」
  「考えられない事ではない、な」
  「何ンだ、どうした御堂?」
  「君の見たのは――現実かも知れない、という事だ」
  「わけが、判りませんが……」
  「考えても見てくれ、優輝君。あの空間は、この宇宙の如何いかなる時間、如何なる空間とも違う、異質な存在。だがそれ故に、如何なる時間、如何なる空間とも繋がっている、いや、“繋がる事が可能だ”とは考えられないだろうか? 現に我々は、異相空間の内部で過ごした時間に比して、遥かな未来に出てしまっている」
  いぶかしむ優輝に、己の仮説を説いて聞かせる御堂。
  「そう言われりゃ……そんな気もして来るな」
  「奈美君の思念が、レイジ君達の姿を映し出させたんだろう。私は そう思うよ」
  「……ありがとう、ございます。御堂さん」
  冷静になってみれば、そんな事が判った所で、現実の問題は何も解決しない。
  それでも、たとえ気休めでも、今は言葉を交わす事そのものが、奈美にとっての救いだった。
  「もしかしたら、向こうも僕等の姿を見ているのかも知れないねぇ」
  ソウマの言葉に、誰もが そう願わずには いられなかった。
  同じ時を生きていた筈の人々と、時をへだてるという、本来 起こり得ない事象が、唐突な、永遠の別れを招いた。
  いや、大きくくくれば、それは“死別”する事と同義ではあるだろう。
  しかし、それは余りに突然 過ぎた。
  嵯峨達20世紀組を除けば、誰もが その現実を咀嚼そしゃくするのに必死だった。
  各々おのおの自室へ引っ込み、そのまま数日が過ぎる。
  やがて、心の整理が付いたのか、ちらほらと顔を見せ始め、更に2日が過ぎる頃には、再び全員が顔を揃えた。
  「揃ったな。落ち着いたか?」
  「何とか……ね」
  誰からとなく今後の話が出て、今少しの間、三組での行動をする事となった。
  先んじて志賀達が出発した後、ゴウズの許へ向かおうとする優輝を掴まえた奈美。
  「そうそう優輝。あの時は言わなかったけど。美緒ね、赤ちゃん、抱いてたんだ。……私、お姉ちゃんなのに、先 越されちゃったなぁ〜」
  「なッ、な、奈美?」
  耳元でささやかれ、二重に くすぐられる優輝。
  「あらあら、あなたに似て、優輝は“そっち”は手が遅いわねえ」
  「ぬなッ!? ゆ、優子……何故ナゼそこで俺を引き合いに出す?」
  「あら、まさか自覚が無かったんですか?」
  表面上は いつもの笑顔だったが……嵯峨の背筋に、冷たい物が流れ落ちる感覚だけが走った。
  「イエ……アリマス」
  「♪」
  (女傑……だ、な)
  他人事ながら、御堂さえ、流れる冷や汗を感じていた。

  それからの半月は、あっという間に過ぎて行った。
  「ゴウズ氏の許可は貰った。野郎共、を上げろ、出航だ!」
  その日、集められた一同に、脈絡みゃくらく無視の啖呵たんかを切ったのは、もちろん嵯峨だ。
  「……はい?」
  「嵯峨、このふねに帆は無いぞ」
  当然と言えば当然ながら、ついて行けない面々の反応は冷ややかだった。
  「……ンだよ、ノリ悪いなァ、お前等」
  「父さんは いつも唐突 過ぎるよ……。予想も出来ない方向から飛び込んで来るんだから」
  「予測不能だから、面白れぇんじゃねぇか。予定調和さきがみえるなんざ、つまらんぜ」
  「……付いて行く方は、大変だよ」
  「まァ、そう言うな。人生 刺激がェとな。ワハハハ!」
  嫌にハイテンションで、嵯峨が まくし立てる。
  「頭、痛くなって来たよ」
  「大変! 医務室行こ、優輝」
  耳ざとく聞きつけた奈美が、心なしか嬉しそうに、優輝の腕を抱えて引きって行く。
  「え? ぅわっ、ちょ、ちょっと、奈美!?」
  「おう、行って来い行って来い、ハッハッハ」
  「暢気のんきな ものだな……あの親子も」
  「いいんじゃないかなぁ? あの位でないと、人間なんて やってられないし。ま、僕等が言えた義理じゃないけどねぇ」
  「それもそうか」
  「ん? 御堂、ソウマ、どうかしたのか?」
  「いいや? それで、嵯峨。この先どうするんだ?」
  「ふむ、そうだな……まぁ当分は乗っけて貰ったまま、アテの無い旅と洒落しゃれ込もうぜ」
  白銀の翼を乗せた超大陸アトランティスが、無限の星の海をく。
  求めるは、いまだ人の踏み込まぬ地。
  その旅路に終わりは無く、どこまでも続いて行くのだろう。
  星のて へ辿り着く、その日まで。


あとがき 目次へ戻る
 
星の涯てのG・サジタリアス TOPへ戻る 今日は もう おしまい